茶懐石について
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茶事に何度も行っていると、茶懐石には軽い物が良いと思うようになりました。懐石が豪華ですと後座で眠くなったり、トイレに行きたくなったり、お腹が満足してしまうと感覚が鈍り茶味が感じられまくなってしまいます。
メインの濃茶の味にも影響してしまいます。
茶事の味付けに六味と言うのがあり、甘み、苦味、酸味、塩味、旨味、の5つにそれに茶懐石は淡味を付け加えて六味となります。
この淡味が重要で、淡い味ですと喉が渇いて水物が欲しくなる事もなく、他の味をしっかりと感じる事も出来ます。
また、淡いとどんな味か考えながら食するのでゆっくりと食べる事が出来ます。そして五感が研ぎ澄まされ後座に入る。濃茶では静寂が茶室を清め、まさに維摩一黙如雷その中で亭主は茶を点てる事に集中する。
亭主の濃茶点前は、まるで修行僧が目の前に集中して四苦や雑念を払い去って茶を点てる事に没頭する修行のさまを客は見守っています。
濃茶の問答の亭主のからの「いかがですか」は私の修行はいかがですか。との問いのようなもので、
正客は「大変結構でございます」とあなたの修行は大変結構で見届けましたよ。という返答します。
それが茶懐石が豪華過ぎて濃茶の時に眠くなっては台無しです。
ネット上に茶懐石の焼物を牛肉の和牛ステーキにしているという方を何人かお見かけしました。
茶事以外なら大歓迎ですが
そもそも仏教の成立の段階で牛を食べない事でバラモン教に反対したのが仏教であったはずで
日本の飛鳥時代に仏教伝来と共に宮中の一部に牛、猿、豚、犬、鶏を食べるなと禁止が出たはずです。それが時代と共に広がり、庶民にまで広がりました。
ただ、明治以降の近代数寄者の方々はそれに関係無く、牛肉などを茶懐石に使いましたが、それとは区別した方が良いと思います。
茶名は宗の字をいただいたおり、臨済宗大徳寺の開山の大燈国師の宗峰妙超の宗の字を使わせていただいておりますので、
生臭を全て排除して精進にした方が良いとは思いませんが、私は自分の茶事は自分で作り淡味は大切にしています。