日本庭園協会 東京都支部 見学会 作庭 石正園さん
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最終目的地の上尾には、石正園さんが手がけた庭があります。この日の埼玉は猛暑でバスを降りたら灼熱地獄でした。
石正園の平井さんの後をついて行きました。門は長く使えるように万年塀の柱で作った門でした。さっそく入口からアイデアが素晴らしい!
庭の中に入って行くと物語が始まります。まず、森を歩きます。
この森も全て植栽してあります。さすが雑木の庭のスペシャリストの石正園さんの仕事です。
森の先には水の流れが!
個人の庭とは思えない。まるで山の中です。この石組みも石正園さんが行いました。最大7tの石などを使っているそうです。
その流れを過ぎると芝生の広場が
芝生を進んで行くと、シンボルツリーの桜です。
この桜はもともとあったらしく、少し斜めになっている桜を上手く利用して傾斜などをあえて作り景色としています。
その隣りは棚田のような池が広がっています。この池を棚田のようにしようとして石正園の平井さんはさまざまな棚田を訪ねて見て回ったそうです。その心と行動は素晴らしいです。
棚田にする事で水の温度が一定になるそうです。清流にすむハヤがすんでいました。
石正園の平井さんは東京農大附属高校時代に釣り部で渓流釣りをたくさん行いそれをずっと続けて、山の景色が庭の要素の全てを学ばせてくれたと言います。
写真にはハヤが写っていますが分かりますかね。こちらの庭のオーナーが錦鯉を池に放ったそうです。それも愛嬌ですね。
大きな石橋がありました。
これを越えて行くとお稲荷様がありました。
ここの灯籠は正面に一基のみで古い灯籠の据え方の形式です。宇治の平等院鳳凰堂や滋賀の三井寺などの古い形式で灯籠が据えられていました。
石造物のスペシャリストの石正園の平井さんらしい石や灯籠の使い方です。勉強になります。
手前の手水鉢は井戸水が湧き出ています。
この日はここで麦茶を冷やしてこの家のご主人と奥様は出迎えてくれました。
まとめ
かつて、庭は富の象徴で人を家に迎えもてなす場所でした。今は人を招く事は無く、富の象徴として車にお金をかけます。
現在は庭や外構工事で最初に設計するのは駐車場です。
そして、どんな車に乗っているか、それがデザインの一番大事な事になります。
外構の設計をして来た事や外構の歴史の本を出版した時に分かった事ですが、モータリゼーションが中流階級に浸透し、人を招く文化は衰退していき、
鑑賞用の日本庭園は衰退をたどりその代わりに高級車と高級なフレンチをどの外食が盛んになります。
娯楽も能や茶道から、車で行くゴルフなどにとって変わっていきます。
今回の庭園見学会では人を招く方々の生活を垣間見る事が出来ました。
そして、富を代々築き上げているご家族は、人がきたらキチンとおもてなしをする。お菓子や飲み物を身銭をきってでも出してくださる。
それに何とも思わない。そういう方達は代々、地域に愛され、土地からも愛されているようです。