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炭の醍醐味

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裏千家グラフに御家元が「炭の醍醐味」というお話を書かれておりました。

御家元の今年はとても大変な年となった事と思います。そんな中、同門の為にお話しを欠かさずに書いてくださるとは、頭が下がります。

今回の炭の醍醐味というお話しですが炭で稽古をなさってないとピンと来ない話しです。この中に「講習会でも炭に当たると損したような面持ちになられる方を見る。なんだか勿体ない。」この様に稽古の時に炭点前でアタフタされている方や、講習会で炭になるとハズレでも引いた様な事をおっしゃる方もいます。

しかし、はっきり申して茶の湯は火相です。そのように断言しても良いぐらいです。茶事をする時に正客や連客の顔ぶれを見て、話しが長い方々なら炭を狭くしたり、素っ気ない正客なら炭の間を開けて火が早く廻るようにしてみたり、さらには火が良くおきるように灰を何度もふるって細かくして空気を入れて、火のおこりを早くしたり、クヌギの炭やナラの炭の火力などいろいろと試して経験を重ねて行きます。

それは茶事の濃茶の時に最高の湯の具合いまで持って行く。炉の濃茶点前では中蓋をして、下がり始めた湯相をピタッと釜蓋を閉める事で温度を上げ、最高の湯相で濃茶に持って行く、

この火相をコントロールする事が茶事の難しいところです。

茶事の難しさはけして手順を覚える事ではありません。

茶事の後炭の時に炭の残り具合いを見て、上手く行った時は嬉しいし逆にダメな時、つまり上手く燃えて無い時や、全てが灰になってしまっている時などは自分の至らなさを実感します。お点前は自分でコントロール出来るので精進あるのみですが、炭点前は炭をついだら自然の力にコントロールを任せる。

これを上手くコントロールできる人の事を茶人と呼ぶのでしょう。

けして茶道家と称しパフォーマンスする方の事を茶人と呼ぶのではありません。炭点前は徹底的に何度も何度も行い、火の起こり具合いや廻り具合いを知らねばなりません。

炭点前が当たったら幸運だと思わねばなりません。

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