野点について
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野点は本当はとても難しいです。
まず、ただ茶を飲むだけだと「茶の湯」にはならず、英語で言えば「ドリンキング、ティー」となってしまいます。
それば室町時代より絵になっている茶売りから茶を買って飲む事と同じく「茶飲み」なってしまうからです。
写真に室町時代の高雄観楓図屏風絵を載せました。京都洛北の高雄にて紅葉狩りの際に茶売りから茶を買って飲む事が描かれています。
これは「茶の湯」ではありません。ただの茶飲みです。
野点はあくまでも「茶の湯」です。古くから野点に使う道具は周りの景色に目が行き過ぎないように、普段より厳しく選んだ、良い道具を使う事で「茶の湯」となると伝えられております。
SNSの発達により「茶飲み」と「茶の湯」が混同されているようです。
野点はよほどの道具が無い限り行わないようにしております。
また、桃山期に活躍した茶人の丿貫を持ち出して変わった茶風を讃美する方をいらっしゃいますが、宗旦は丿貫の茶風は千家とは違う茶風だと書いておりますので千家で茶をなさっている方で有れば、そこはしっかりと心得るべきでしょう。
ある、尊敬する裏千家の先生の野点では旅箪笥に茶碗は旦入、短冊は御家元でした。
これこそが野点だと思いました。
誤解されぬように、道具の金額の高さでは無く、自分の中で選び抜いた道具を出す。
茶室は茶人にとって最大の道具でありますので至らぬところもカバーしてくれますが、野外では、道具を選び抜く目はさらに厳しさを増すと思います。
外で抹茶を飲む事を否定している訳では無く、「野点」と称するととても難しいと思うと言うことです。