筧について
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蹲踞にある竹から水が出てくる筧(かけい)もしくは掛樋(かけひ)とも言われるものがありますが、
これは付けた方が良いのですか?もしくは、無くても良いのでしょうか?
とお客様から問い合わせがあります。
これにつきましてお好みなのですが、茶事を行う時に水張桶を持ち出して、水を手水鉢にあけるのが一般的に習う事です。
なので筧が無くても全く問題は無いです。
また筧が有って水が出ている場合は、茶事の時は水張桶は持ち出さずに手水鉢の水の半分を蹲踞の周りに掛けて、迎えつきに行き、水が溜まる頃に正客から手水鉢を使えばよいので、筧は有っても良いし、無くても良いです。
とはいえ、そう言うと漠然としていますので、
・筧を作った場合
水道工事代と排水の代金が多くかかります。
また、蹲踞の前の水を流すところを海と申しますが、排水口と排水管を下水管に繋ぐ為に配管に勾配をつける必要があり、海が浅くなります。
写真の蹲踞は筧から水を常に流している為に排水をしている為に海が浅くなっています。
また、水を流し続けると水道の場合は水道代がかかります。水道局からあまりに水道が掛かるので漏水を疑われる事もあります。
井戸水を使われるなら問題は無いと思います。
・筧が無い場合
排水などの工事費がかからずに水道費もかからない。蹲踞の海が深く作れるので造形に陰影がつく。また茶事の場合は一般的な水張桶を持ち出すやり方になる。
という事になります。
ここまで言うと、筧が無い方が良い事だらけの様な気もします。
が、世の中は筧を付ける蹲踞の方が多いです。
なぜかと申しますと水のある風景を作るのが良い庭の条件の一つだからです。
有名な庭には池が多くあります。また、龍安寺の石庭も視覚では捉えられませんが近くに池があります。
かつて茶庭の香りを徹底的に調べた論文があります。季節の花の香りなどなど草木の香り、雨の香りなど、心地よく感じるのは庭にある程度以上の湿度がある時の方が香りが立ちます。また雨の時がとても香りが立つ様です。
香道をなさっている方なら分かるでしょうが湿度の高い時の方が香りがたちます。
この様に、良い庭は目には見えない香り景色がたり、湿度を確保する事も一つのポイントとなります。
その為に植栽も高さのある物で湿度を逃がさないのも良いです。
茶事を沢山なさってる方ならお分かりでしょうが、三露と言われる露路に水を撒いた後の露路は本当に草木の香りが立ち清々しいです。
本題に戻りますと筧を付けるか付けないかはさまざまな条件を考えて、それを理解出来る造園屋さんに相談して行くと良いと思います。